一般財団法人健康予防医学財団 理事
みなと健診クリニック 医師
裴 英洙
皆様はタバコを吸っていますか?
最近の厚生労働省国民健康栄養調査(平成23年度)では、日本人の喫煙率は20.1%で、1年前より上昇しました。男性の喫煙率は32.4%で、40歳代50歳代を除きやや増えてきています。20歳代~50歳代では4割前後が喫煙しています。一方、女性の喫煙率は9.7%で、30歳代が16.6%、40歳代が16.5%と中年層で高い値を示しています。最近、禁煙活動が拡がっていますが、諸外国と比べると日本の喫煙率は未だ高い状況にあるのです。
そもそも、なぜタバコが体に悪いのでしょうか?実は、タバコの煙には、4,000種類以上もの化学物質が含まれており、そのうち、発がん性物質はなんと60種類と言われています。さらに、タバコの煙に含まれるニコチンは、麻薬にも劣らないくらいの依存性をもつ薬物なのです。長期にわたって喫煙を続けていると、体の臓器や組織に障害を起こし、いろいろな病気が生じやすくなることが分かっています。特にがん、虚血性心疾患(心臓の血管が細くなったり詰まる病気:狭心症、心筋梗塞など)、慢性閉塞性肺疾患(肺での空気交換がうまくいかなくなる病気:肺気腫、慢性気管支炎など)は喫煙による影響が大きく、喫煙関連三大疾患と呼ばれています。
タバコを吸っている方でも、実際「禁煙したい」と思っている人は4人に1人、本数を減らしたいと思っている人も含めると6割もいるとの調査もあります。タバコを止めると冠動脈疾患の危険率などは急速に下がりますし、近年、日本で増えている肺気腫の悪化防止にも効果的です。タバコはいつやめても「遅い」ということはないのです。ぜひ皆様も禁煙に取り組みましょう。
一般財団法人健康予防医学財団
みなと健診クリニック 看護師
畔地 千晴
青年海外協力隊のボランティアを目指したきっかけは、日本と途上国の医療の違いに興味を持ち、現地の人々と生活し、「自己成長・貢献・帰国後日本への知識還元」をしたいと思ったからです。そこで、私は、青年海外協力隊を受験し、ブータンの透析室に所属し活動することになりました。赴任期間は2016年7月~2018年7月を予定しています。
ブータンは、中国の南側、ネパールの東側に位置し、中国とインド大国に挟まれています。面積は約38,000k㎡で日本の九州とほぼ同じ大きさです(人口は約76.5万人)
私の任地モンガル県は、ブータンの首都ティンプーから車で2日間。ブータンでは昔から塩分、脂分、唐辛子を使った食事をしています。また、近年車の普及や食生活の変化から、糖尿病や高血圧等の生活習慣病が増加しています。それに伴い腎疾患の患者も増加傾向にあり、透析が必要な患者が増えています(平均寿命 68歳)
赴任直後からブータン人スタッフと共に、一連の透析業務を行っています。医師が不足しており、透析室の運用は看護師が中心ではありますが、医療看護の安全管理、質の維持、更なる向上に向けて目標を設定し活動中です。また、現在は、病院での看護業務に加えて、近くの小学校に行き、病気を予防するための健康出張授業も定期的に開催するようになりました。日本では珍しくないことですが、看護師が教育に参加し、授業ができたことはインパクトがあったようです。
異文化で生活するということは、とても大変です。専門医が不在、もちろん日本とは働き方、食生活、気候も異なり、2週間家に水が出なく雨水を貯水して生活することもあります。いくつもの現地語が存在し、言葉の問題もあり、私自身看護師であるにも関わらず、患者さんの訴えを正確に聞くことができない自分に悩む時も多々あります。
赴任直後から「シスター!」と呼んで、受け入れてくれた現地スタッフ、患者さん、住民の方々にとても感謝しています。また、透析看護だけではなく、病気を予防するための活動ができるのも、当院での経験があったからだと思っています。2年間のブータンでの活動が終了した際には、当院に復帰します。